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【2025年1月】不動産投資の消費税控除・還付のまとめ

執筆者の写真: ヤモリヤモリ

不動産投資・事業では物件購入時に建物価格に消費税がかかるケースがあり、消費税を抑える方法はないかと考える人も多いかと思います。以前は、自動販売機スキームや金地金売買スキームを通じて不動産賃貸業でも消費税還付が行われていました。


これまで国は幾度にわたり税制改正で規制を設けており、2020年度の税制改正でアパートやマンションなどの居住用不動産における消費税還付はできない、という結論となっています。

ただし、居住用不動産を購入した場合でも、「消費税仕入れ控除」が使えるケースはあり、特に1000万円以下の建物を業者売主から購入するオーナーさんは、消費税の概要を理解しておくことが重要です。


 

〈目次〉

 

消費税の仕組み

消費税の基本的な流れ

  • 商品や製品は生産・製造業者、流通業者、小売業者を経て消費者へ届く

  • 各取引段階で消費税が発生する

消費税の重複防止の仕組み

  • 取引段階での税の累積を防ぐ制度がある

  • 事業者は売上消費税から仕入消費税を差し引いて納付

具体例

  • 卸売業者の仕入れ:5,000円+消費税500円

  • 卸売業者の販売:7,000円+消費税700円

  • 納付額:売上消費税700円-仕入消費税500円=200円


図の参照先:マネーフォワード記事より「消費税とは」
図の参照先:マネーフォワード記事より「消費税とは」

消費税還付とは


消費税還付の基本

  • 仕入れで支払った消費税額が預かった消費税額を上回る場合の返金制度

消費税の仕組み

  • 間接税:消費者が負担し、事業者が納税

  • 事業者の役割:

    • 販売時に消費税を預かり申告

    • 仕入れ時に消費税を支払い

    • 預かった税額から支払った税額を差し引いて納付

還付が発生するケース

  • 高額な仕入れにより支払消費税が預かり消費税を上回る場合

  • 過剰支払分が還付金として返金される



不動産事業の消費税還付とは


不動産事業による消費税還付とは

  • 事業者が事業用不動産購入時に支払った消費税を国から還付

  • 事業用不動産取引が対象(居住用不動産は基本的には対象外)

    • 事業用不動産として使用可能な例

      • 事務所

      • 店舗

      • ビジネス用施設

      • 旅館

      • 民泊

還付の流れ

  • 不動産購入時に消費税を支払う

  • 支払った消費税を入力税(仕入税)として申告

  • 国から還付を受ける

課税対象

  • 建物

    • 新築・中古を問わず課税対象

    • ただし、課税事業者からの購入時のみ(個人間の取引では消費税は発生しない)

  • 仲介手数料

    • 不動産業者への支払い手数料

    • 媒介契約に基づく費用全般

  • 登記費用

    • 司法書士への報酬

    • 登記に関する諸費用

  • 重要な注意点:

    • 土地取引には消費税が一切かからない

    • 個人間売買の場合:

      • 建物も非課税

      • 土地も非課税


不動産で消費税還付が使えないケース

ケース1:居住用物件として家賃収入をもらう場合(居住用物件の家賃収入は非課税取引)

• 入居者から消費税を預かることができません

• 敷金・礼金も非課税対象です

• そのため、消費税の還付を受けることができません

ケース2:免税事業者として活動している場合(免税事業者の場合は以下の理由で還付を受けられません)

• 消費税を納める義務がありません

• 消費税を納めていないため、還付される税金もありません

• 年間売上1,000万円以下の事業者が該当します

<課税事業者になる手順>

  • 消費税課税事業者選択届出書を作成

  • 税務署へ届出書を提出

  • 注意:課税事業者は消費税の納税義務が発生


居住用不動産で消費税還付・控除が使えるケース

以下の条件を全て満たした場合には、消費税還付が可能となる。

  1. 課税事業者で原則課税であること(簡易課税は不可)

  2. 課税売上が一定割合あること

  3. 1000万円未満の「居住用賃貸建物」を取得した場合(1000万円以上は高額特例資産となり仕入れ税額控除できない)


消費税の計算方法


※課税売上割合とは総売上高(税抜)に占める課税売上高(税抜)の割合


個別対応方式:仕入れ消費税を個別計算

① 課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの:全額控除可

② 非課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの:全額控除不可

③ 課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等に係るもの:課税売上割合の分だけ控除可

売上等により預かった消費税額から控除する消費税額は以下の計算式により計算します。

仕入控除税額 =①の消費税額 +(③の消費税額 × 課税売上割合 )

一括比例配分方式:支払消費税を一括計算

課税売上高が5億円を超える場合、または課税売上割合が95%未満の場合に適用される方式です。課税・非課税売上げの区分がない場合、または一括比例配分方式を選択した場合に使用します。

仕入控除税額 = 課税仕入れ等に係る消費税額 × 課税売上割合

(注)一括比例配分方式を選択した場合、2年間は継続して適用する必要があります。


2020年度税制改正で消費税還付スキームは終焉


消費税還付スキームの変遷

  • 自動販売機スキームや金地金売買スキームを通じて不動産賃貸業でも消費税還付が行われる

  • その都度、国は税制改正で規制を設ける


令和2年度(2020年度)の税制改正

  • 金地金売買スキームの規制

  • 基本的には居住用の不動産賃貸業(1000万円以上の建物)における仕入税額の控除が禁止

  • 実質アパートやマンションなどの居住用不動産における消費税還付が完全に封鎖





 

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