物件での孤独死対策は?賃貸オーナーが知っておくべき告知義務と対策
- ヤモリ
- 2 日前
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更新日:1 日前
賃貸市場では住まいを借りたい単身高齢者が急増している一方で、多くのオーナーが「孤独死が起きたらどうしよう」という不安から、受け入れに慎重になっている現実があります。 本記事では、告知義務を整理しつつ、リスクをルールと仕組みで管理するための具体策を解説します。
<目次>
なぜ今、単身高齢者の受け入れが論点になるのか
賃貸市場では「住まいを必要とする単身高齢者」が今後も増加していきます。一方で、オーナーや管理会社の間では、単身高齢者への貸し渋りが広がっているのが実情です。
その理由は明確です。入居中に死亡が発生した場合、特に発見が遅れると、
特殊清掃(※)が必要になる可能性
原状回復費用や残置物対応のコスト
家賃下落や空室の長期化
といった損失が発生するリスクがあるからです。
※特殊清掃…孤独死などによる室内汚染を専門手順で除去・消毒・原状回復する作業
ここで重要なのは、「怖いから拒否」することではなく、告知ルールを正しく理解したうえで、契約・保険・見守りといった仕組みによって、リスクを管理可能な形に落とすことです。
まず押さえるべき、国交省の告知義務の整理
いわゆる事故物件の告知義務については、国土交通省が宅地建物取引業者向けにルールを整理しています。ポイントは、「物件内での死亡=必ず告知」ではない、という点です。本ガイドラインで重要なポイントは主に2点です。
※出典:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
ポイント1:自然死・日常生活の不慮の事故死は原則として告知不要です。
居室内での自然死や、転倒・誤嚥などの日常生活上の不慮の事故死については、特殊清掃が伴わない限り、賃貸借・売買いずれも原則として告知不要と整理されています。
同じ自然死であっても、発見が遅れ、特殊清掃等が実施された場合は、相手方の判断に重要な影響を及ぼし得るため、告知の要否が問題になります。
ポイント2:賃貸借では、一定の場合に概ね3年間告知が必要と整理されています。 ただし、事件性・周知性・社会的影響が高い事案は、この限りではありません。
物件内での死亡の最大のリスクは死亡自体ではなく、発見が遅れ、特殊清掃に至る状態を招くことです。つまり、賃貸経営における孤独死対策の中核は、早期発見を前提とした設計にあります。
単身高齢者の受け入れリスクを下げる3つのアクション
1. 保証会社・保険加入を必須化し金銭リスクを想定の範疇に収める
単身高齢者の受け入れで最もダメージが大きいのは、特殊清掃・原状回復・残置物処理・家賃損失が一度に発生することです。これを「想定外」にしないため、契約条件として整理しておく必要があります。
保証会社の利用を必須条件とする:家賃滞納リスクを平準化し、回収ストレスを抑えます。
入居者側に孤独死対応の損害保険加入を義務化する(オーナー側も火災保険は別途加入):特に重要なのは、保険の中身です。商品ごとの差が大きいため、最低限以下は事前に確認しておきましょう。
具体例:原状回復費用:補償範囲(消臭・内装交換等)と上限額/家賃補償:対象期間と上限/残置物処理:対象かどうか/免責・除外条件の有無
保険と保証は「入れて終わり」ではなく、補償内容を把握したうえで受け入れ判断に反映することが重要です。
2.賃貸借契約書に特約を入れ、死亡後の手続きを止まらないようにする 孤独死リスクの本質は、死亡そのものよりも、死亡後の手続きが止まり、対応が長期化することにあります。これを防ぐため、契約時点での設計が欠かせません。
具体的には、死亡後対の応を想定した特約条項を入れることです。鍵開け、解約手続き、残置物対応について事前合意を取っておくことで、事故後の混乱を防げます。
あわせて、事故後の手続きを止めないために、連絡・手続きルートをいくつか押さえておくことも重要です。実務を止めないため、以下を可能な範囲で契約書・申込時に整理します。身元引受人(保証人とは別でも可)や法定相続人の情報、緊急連絡先を複数名確保しておきましょう。
誰に連絡すれば次に進めるのかが明確になるだけで、事故後の停滞リスクは大幅に下がります。
3.見守り機器で「発見の遅れ」を構造的に防ぐ
損失を拡大させる最大の引き金は、発見の遅れです。したがって、最後の一手は早期発見の仕組み化になります。見守り機器の導入(例:みまもりヤモリなど)等を行うことで、一定時間動きがないなどの異常を検知・通知し、発見遅れのリスクを抑制できます。
一方で、入居者からの設置拒否への備えとして、身元保証・生活支援サービスを活用、機器導入を断られる場合でも、支援サービスを併用することで、入居者本人にとっても万一の際の安心材料となります。
さらに、将来の必須化を見据えた特約を仕込む、例えば一定年齢(例:70歳・75歳)到達時には見守り機器設置を必須とするといった条項を入れておくことで、後日の交渉コストを抑えられます。
なお、見守り体制が構築できない場合、発見遅れの確率は上がり、結果として長期空室・物件価値の毀損・家賃下落につながる可能性が高まります。精神的負担を含め、管理側のコストが増える点は前提として認識しておきましょう。
まとめ
告知ルールを正しく押さえ、金銭・実務・発見体制を設計すれば、管理可能なリスクです。
賃貸経営において重要なのは、一度の大きな成功よりも、大きな失敗を避けながら安定した収益を積み上げることです。
単身高齢者という確実に拡大する需要を、拒否ではなく仕組みで取り込むことで、安定した賃貸経営を作っていきましょう。
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北海道出身、元総合商社勤務。2014年から賃貸経営を始め、7年間で家賃収入が約1憶円を突破。現在は福岡県在住で不動産テック企業「株式会社ヤモリ」を経営し、賃貸経営の知見を活かして一般の会社員や主婦の方々向けに不動産による資産形成を寄り添って支援するサービス「ヤモリの学校」と「ヤモリの家庭教師」を提供しています。
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