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「上京」は特権なのか?地方女子学生を阻む「住居費」の壁と、新たなアフォーダブル住宅の挑戦

「進学における格差」が、確実に広がっている。 性別・経済格差・地域格差。これらが複雑に掛け合わさることで、特に「地方出身の女子学生」にとって「東京への進学」は極めて困難な道のりとなりつつある。 本稿では、その最大の障壁となっている「住居問題」に焦点を当て、データから見える残酷な現実と、その課題に挑む新たなアフォーダブル住宅の取り組みについて解説する。


1. 「関東への進学」という経済的ハードル

まず注目すべきは、進学先による圧倒的な住居費の格差だ。以下のデータは、一人暮らしをする大学生の1か月あたりの住居費を地域別(関東首都圏とそれ以外の地域)に比較したものである。

【解説:学生における家賃と地域差】   

グラフが示す通り、関東首都圏(1都3県)以外の地域における平均住居費が48,969円であるのに対し、関東首都圏では61,585円に跳ね上がる。 その差額は毎月12,616円。年間で約15万円もの差が、単に「学ぶ場所」が違うというだけで学生の生活費にのしかかる。  


これは進学後の生活における負担の話だけではない。志望校を選択する段階において、進学後の高い家賃負担に耐えうる経済力を持つ家庭でなければ、そもそも東京の大学を受験することさえできないという厳しい現実を意味している。


2. 「女性であること」のコスト:セキュリティ代という重荷

さらに深刻な点は、そこに性別による格差が加わることだ。特に地価の高い関東首都圏において、その傾向は顕著に表れる。下記は関東首都圏で一人暮らしをする学生における家賃を性別ごとに比較したものである。

【解説:学生における家賃と性差】 

関東首都圏の下宿生を性別で見ると、男子学生の平均家賃が56,817円であるのに対し、女子学生は65,609円となっている。 女子学生の方が、男子学生よりも平均で8,792円高い家賃を負担しているということになる。 

女子学生の場合、オートロックや2階以上、治安の良いエリアなど、防犯・セキュリティ面を考慮した物件選びを余儀なくされる傾向がある。安全をお金で買わなければならない現状が、女子学生の東京進出をより困難にしている。


3. 富裕層しか選べない「上京」という選択肢

地域による高いコストと、女性であることによる追加コスト。この二重の負担により、現状として東京への進学、いわゆる「上京」は、経済的に余裕のある家庭にしか許されない特権的な選択肢になりつつある。

「東京で学びたい」「東京で夢を叶えたい」と願う地方の女子学生の多くが、能力や意欲とは無関係な家賃という壁の前に、進路の変更や断念を強いられている可能性があるのではないだろうか。


4. 課題解決への挑戦:シェアハウス「ハピネスト」

この構造的な「住まいの不平等」に対し、民間企業と非営利団体がタッグを組んで一つの解決策を提示している。 中古物件の再生を手掛ける株式会社ヤモリと、学生の1人暮らし支援を行う非営利団体MORE FREEが共同運営するシェアハウス「ハピネスト」だ。


【ハピネストの仕組みと特徴】 

このプロジェクトは、東京都23区内の空き家をリノベーションすることで、市場価格よりも圧倒的に安価な「アフォーダブル住宅」を実現している。

  • 対象: 地方出身の女子学生限定

  • 家賃: 都内でありながら3〜4万円という低価格を実現

  • 初期費用: 敷金・礼金などの初期費用は一切不要

  • 設備: 家具・家電付き、Wi-Fi完備で、トランク一つで新生活を始められる

このモデルは、株式会社ヤモリが物件の購入から、施工、契約などのハード面を担い、非営利団体MORE FREEが入居学生の生活サポートや企画などのソフト面を担うことで成立している。 空き家問題を解決したい「社会」、安価に住みたい「学生」、そして事業を継続させる「企業」。この三者にとってメリットがある三方よしの仕組みこそが、持続可能なアフォーダブル住宅の鍵となっている。


5. 今後の展望

「ハピネスト」のようなアフォーダブル住宅が社会インフラとして広まっていけば、経済的な理由で東京進出を諦めていた地方女子学生に、新たな選択肢を提示できる。 住まいの壁を取り払うことは、教育の格差、そして将来の可能性の格差を是正する大きな一歩となるはずだ。 今後の展望において、急激な規模の拡大を追い求めるのではなくプロジェクトの継続性を最優先に維持し、地に足のついた着実なロードマップを描いている。具体的には、無理のない範囲で1年に1軒というペースで、アフォーダブル住宅、ハピネストを増設していく計画だ。


共同運営を担う株式会社ヤモリは、本プロジェクトをCSR(企業の社会的責任)活動として位置づけている。不動産事業としての収益性を一定程度削ってでも、社会課題の解決を優先し、着実に供給戸数を増やしていく方針である。 

一方で、非営利モデルで運営を行うMORE FREEは、理念に共感し資金提供を行ってくれる企業や協力者のネットワークを広げることができれば、さらに規模を拡大しより多くの学生を支援できる可能性も秘めている。  


空き家問題を解決しながら学生のニーズに応える。東京の家賃高騰という壁を崩し、地方出身の女子学生が経済的な不安なく夢に挑戦できる環境を、継続的に提供し続けていきたい。


文 : 坂本悠愛(ヤモリインターン/慶應義塾大学4年生)

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