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ど素人が不動産賃貸業を始める物語 | 第2話「チャイムのその先に」


Twenty years from now, 
you will be more disappointed by the things that you didn't do than by the ones you did do, so throw off the bowlines, sail away from safe harbor, catch the trade winds in your sails.
 Explore, Dream, Discover.


今から20年後、あなたはやったことよりもやらなかったことを悔やむことになるだろう。
そうなる前に、安穏とした港から船を出せ。自分自身の帆で貿易風を受け止めよ。
真に求めるものを探求し、
叶うことを願い、見出すのだ

マーク•トウェイン

「ピンポーン」



自宅に鳴り響くチャイム音。



モニターを覗くと、


目の前にはスーツをビシッと

決めた30代の男。


スーツがよく似合っており、 日焼けしていた。




普段は元気よくそのチャイム音に答え、

応答する。


ただその日は、

そのチャイム音に応答することは無かった。


なんだか、胸騒ぎがしたからだ。






5月某日。



世間は、GWを待ち侘びている季節。



素人不動産もココロを踊らせていた1人だ。



ただ今年のGWはいつもと違う。

なんせ、不動産と出会ったからだ。



いつもなら海外旅行に

行くことを楽しみに生きているが、


今年は関東近郊の不動産を

見に行くと決めていた。


先日から良いと感じる物件があり、

事前に内見の予約をしているのだ。


さあー見に行くか!と

素人不動産は勢いよく山手線に飛び乗る。


大ターミナル新宿駅で乗り換えて、

小田急線にて西に向かう。


段々と緑豊かになり、

自然を感じられる景色なる。



目的地に着いた。


看板には、「新百合ヶ丘駅」の文字がある。





そう、今回は比較的都心にも近く、

良い印象の強い新百合ヶ丘駅に来ていた。


実は数日前に新百合ヶ丘駅徒歩10分位で

非常に有望だと

その当時思えた物件と出会った。

(今だと内見さえしない物件であったことは余談である)


その物件にキーボックスが

設置させたと早朝に仲介さんより連絡入り、

当日に向かったのだ。



結論から述べると、

この物件には落胆させられた。


※ 物件画像はイメージです



坂道は険しいわ、


隣地荒れ放題だわ、


終いにはアパートなのに、


全部屋繋がっていたのだ。



ただ収穫もあった。


同時に内見者が何人も来ており、


対峙する大家のスピード感を肌で感じた。


家族ぐるみで内見する人、


カップルで内見する人、


1人で内見する人。


理由は様々だが、


みんな不動産事業を志し、


すぐに行動している人達だった。


この学びは、

今後の素人不動産の行動量を

変えるキッカケになった出来事になったことは言うまでもない。




仕方なく、練習がてら

物件周辺の不動産会社にヒアリングを行い、

帰宅することにした。



少しの落胆を抱えつつ、

自宅に戻る。


すると、

自宅周辺に佇む1人の男性。



中年風味の男性。


眼鏡をかけている。


前回訪問してきた男性とは違うようだ。


「ピンポーン。ピンポーン。」



自宅のインターホンを押している。


流石に家の前にいるので、

素通りするわけには行かず、

話しかけることにした。


素人:「こんにちは、素人と申します。

   どんな御用でしょうか。」


男性:「初めまして、廣瀬(仮名)と申します。

   こちらお宅にお住まいの方でしょうか。」


そうですと答えると、

即座に反応してくる男性。


男性:「実は先日素人様の御自宅の裏を

   ご縁があり購入することになりました。

   ただ一部貴方のお家の敷地を通行する

   ことになり、そのお願いでご挨拶に

   お伺いさせて頂きました。」


なんだと•••

自宅に隣接する囲繞地物件が

売り出されただと•••。


恐る恐る質問をしてみることにした。



素人:「この物件、今後誰かお住まいになるのでしょうか?」




すると、男性の目が光る。


男性:「私は買取再販業者でして、これから売り出す予定です。」


名刺を渡してくる。


素人:「ありがとうございます。おいくらで売り出されるのでしょうか?隣地のため、検討させて頂きたいです」


男性:「ありがとうございます。

    3,000万円でスタート予定です。

もしご希望であれば、是非お願い致します。

私も隣地の方であればトラブルも少なく安心です。」


そこで一旦、

連絡しますと伝えて家に戻った。


自宅裏の築古物件が

まさか3,000万円の価値があるとは。


都心の高さに驚く一方で、

気付かなかった自分の落ち度を呪ったのであった。




(数日後…)




近所の方と話す機会があり、

囲繞地物件のことを聞いてみた。


素人:「先日、裏の家の売買があったみたいですが、ご存じでしたか?変な方が住まないと良いですよね」


ご近所さん:「実は、あの物件私も検討していたんです!世田谷不動産(仮)の方が、訪ねてきて買わないかと言われ内見していましたよ!」

ご近所さん: 「ただ一級建築士の友人にもみてもらいましたが、バランス窯だったり傾きあったりとボロボロでやめたよ苦笑」


素人:「そうだったんですね!

その時おいくらだったんですか?

現在は業者の方が所有されているようで

    既に売却されたようなんです」


ご近所さん:「売れたんですね!その時は、1,500万円の売り出しで1,000万円が最低ラインと言われてしまい、、、私は500万円と伝えたので、買えなかったです苦笑」



なんとご近所さん、

鬼の指値してるじゃないか。

ヤモリの0期生かよ….

とココロの中で思った。



実はこの土地は、

評価ベースで1,000万円、

相続路線価ベースで3,000万円する物件。

元の売主様は、評価ベースは維持したかった模様だった。

ただ通常再建築不可物件のため、

手を出しづらい。


ただそこは幸運な素人不動産。


なんと素人自宅に隣接しており、

再建築可能になり大化けする土地だった。


素人:「世田谷不動産の方ってどんな方でしたか?私も声が掛かるとは思うのですが…なぜか無かったです。」


ご近所さん:「スーツをビシッと着こなされてる方でしたね。サーフィンしているようで日焼けしていました」


ハッとした。


頭を抱える。


胸騒ぎをしたことを思い出した。



そう、

その男性は以前私の自宅に

訪れていたインターフォンを

押していた男性だった。


まさかの居留守を使った結果、

1,000万円で買えたはずの物件を逃していたのだ。

既に市場では、

3倍で取引されようとしているのだ。


さすがに自分自身の行動に悔いた。


そのピンポーンというボタン1つが、

2,000万円の価値になってしまったのだ。



(数ヶ月後….)



結果として、

物件が特殊ということもあり、

2ヶ月の期間を得て、

素人不動産が指値をして購入することになった。


一般的にみれば、

今回の購入で

相続路線価ベースで

価値が2.5倍以上に跳ね上がり、

周りから見れば羨ましがられる。


将来賃貸併用を建てる予定にしており、

土地だけでも相当硬い投資である。


ただ事情を知る素人にとっては、

逃した魚はデカすぎた。




素人不動産にとっては、



大きな心理的痛手を負うと共に、

不動産事業を進める上で

いくつかの教訓を得た。


その中で一つ。



誰にでも共通することがある。



過去は変えられない。



今後もその事実は変わらない。



それでも、


未来はいくらでも変えていける。



今から数十年後、


あなたはやったことよりも


やらなかったことを


悔やむことになるだろう。


そうなる前に、


安穏とした港から船を出せ。


自分自身の帆で貿易風を受け止めよ。


真に求めるものを探求し、


叶うことを願い、見出すのだ。



これが素人不動産の

一軒目購入ストーリー。



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